GCP Compute Engine インスタンスガイド

このガイドでは、Google Cloud Platform (GCP) のCompute Engineで利用できる様々な仮想マシン(VM)インスタンスタイプと永続ディスクの種類について解説します。ワークロードに最適なリソースを選択するための参考にしてください。

ご注意: 記載されている情報はAIの学習データに基づいたものであり、**2025年6月現在**のものです。GCPのサービスは頻繁にアップデートされ、新しいマシンタイプや料金が追加・変更されることがあります。常に最新かつ正確な情報については、必ずGoogle Cloud Platformの公式ドキュメントをご確認ください。

マシンファミリーと主な用途

GCP Compute Engineは、多様なワークロードに対応するため、最適化された複数のマシンファミリーを提供しています。各ファミリーは、CPU、メモリ、ディスク、ネットワーク性能のバランスが異なり、特定の用途に最適化されています。

汎用マシンファミリー (General Purpose)

Webサーバー、開発環境、小規模データベース、ビジネスアプリケーションなど、幅広いワークロードに適しています。

  • E2 シリーズ: コスト効率と柔軟なリソース設定が特徴です。バースト可能なCPUを持つため、断続的なワークロードやリソース要件が変動するアプリケーションに適しています。小規模なWebサイトや開発/テスト環境に最適です。
  • N2 / N2D シリーズ: 高性能なIntel Xeon(N2)またはAMD EPYC(N2D)プロセッサを搭載し、幅広いリソースオプションを提供します。高いスケーラビリティと信頼性が求められるエンタープライズアプリケーションや中規模から大規模のデータベースに最適です。
  • C3 / C3D シリーズ: 最新のIntel Sapphire RapidsまたはAMD EPYC Genoaプロセッサ(C3D)を活用し、バランスの取れた高いパフォーマンスを提供します。高性能が求められる汎用ワークロードに適しています。

推奨事項: ほとんどの一般的なワークロードでは、E2またはN2/N2Dシリーズから選択を開始することをお勧めします。コストと性能のバランスを見て、最適なものを選びましょう。

コンピューティング最適化マシンファミリー (Compute-optimized)

高性能コンピューティング(HPC)、ゲームサーバー、メディアトランスコーディング、CPU負荷の高い科学計算など、CPUバウンドなワークロードに最適です。

  • C2 / C2D シリーズ: 非常に高いCPU性能を提供し、CPUバウンドなアプリケーションのスループットを最大化します。コアあたりのパフォーマンスが極めて高く、並列処理を多用するワークロードに強みがあります。
  • H3 シリーズ: 最新世代のプロセッサとDDR5メモリを組み合わせ、HPCワークロードに特化したさらに高いコンピューティング性能を提供します。

推奨事項: CPU性能がボトルネックとなるワークロードや、ライセンスコストがCPUコア数に依存するソフトウェアには、これらのファミリーを検討してください。

メモリ最適化マシンファミリー (Memory-optimized)

SAP HANA、大規模インメモリデータベース、ゲノム解析、ビッグデータ分析など、大量のメモリを必要とするワークロードに最適です。

  • M1 / M2 シリーズ: 非常に多くのメモリを搭載可能で、メモリ負荷の高いエンタープライズアプリケーションや大規模なデータ処理に特化しています。ペタバイト級のデータセットをインメモリで処理するような用途に適しています。
  • M3 シリーズ: 最新世代のプロセッサを搭載し、さらに高いメモリ帯域幅と容量を提供します。

推奨事項: メモリ使用量が常に高く、メモリ不足がパフォーマンスのボトルネックとなる場合に選択します。極端に大量のメモリが必要な場合は、カスタムマシンタイプも検討できます。

ストレージ最適化マシンファミリー (Storage-optimized)

大規模なデータウェアハウス、NoSQLデータベース、ログ分析、大規模なトランザクション処理など、高スループットで低レイテンシのローカルストレージを必要とするワークロードに最適です。

  • L2 シリーズ: 高速なローカルSSDを大量に搭載し、I/O集中型のアプリケーションに最適です。データ処理のスループットが極めて重要な場合に真価を発揮します。

推奨事項: ディスクI/Oがパフォーマンスのボトルネックとなるアプリケーションで、かつデータをVMインスタンスのライフサイクルと同期させてよい場合に検討します。

アクセラレータ最適化マシンファミリー (Accelerator-optimized)

機械学習(ML)、AI、グラフィックレンダリング、科学シミュレーション、高性能コンピューティング(HPC)など、GPUやCloud TPUを利用するワークロードに最適です。

  • A2 シリーズ: NVIDIA A100 GPUを搭載し、大規模なAI/MLトレーニングやディープラーニングモデルの開発に特化しています。
  • G2 シリーズ: NVIDIA L4 GPUを搭載し、ML推論、グラフィックスワークロード、仮想ワークステーションなどに適しています。
  • Cloud TPU (Tensor Processing Units):: Googleが開発した機械学習に特化した専用ASICです。特にTensorFlowベースのモデルのトレーニングで高い性能を発揮します。

推奨事項: 特定の計算負荷が高く、GPUやTPUの並列処理能力を活用できるアプリケーションに導入を検討します。

その他・選択の考慮事項

インスタンスタイプを選択する際に考慮すべき追加のポイントです。

  • VMの命名規則: 一般的に [ファミリー][世代].[タイプ] の形式です。例: e2-standard-4 (E2ファミリー, 標準タイプ, vCPU 4コア)。
  • CPUアーキテクチャ: Intel、AMD、Arm(Tau T2Aなど)の選択肢があります。既存のソフトウェアやライブラリの互換性を確認してください。特にArmベースのインスタンスは、コスト効率に優れる場合があります。
  • カスタムマシンタイプ: 標準のプリセットタイプでは要件を満たせない場合、vCPUとメモリの組み合わせを自由に設定できるカスタムマシンタイプを利用できます。これにより、リソースの無駄を省き、コストを最適化できます。
  • スポットVM(旧プリエンプティブVM): 低コストで利用できるVMですが、GCPのリソース状況によって中断される可能性があります。開発/テスト環境、バッチ処理など、中断されても問題ないワークロードに適しています。

永続ディスク (Persistent Disk) の種類

Compute Engineインスタンスには、データの永続化のために永続ディスクをアタッチします。性能特性とコストに基づいて最適なタイプを選択できます。

  • 標準永続ディスク (Standard Persistent Disk): HDDベースで、主にシーケンシャルI/Oが多いワークロードや、コストを最優先する場合に適しています。例えば、ログストレージやバックアップ、起動ディスクなど。
  • バランス永続ディスク (Balanced Persistent Disk):: SSDとHDDの中間の性能とコスト効率を提供します。多くの一般的なワークロードに推奨されるデフォルトの選択肢です。Webサーバー、開発環境、中規模のデータベースなどに適しています。
  • SSD永続ディスク (SSD Persistent Disk):: 高いIOPS(Input/Output Operations Per Second)とスループットを提供し、トランザクションデータベースや高性能アプリケーションに最適です。
  • エクストリーム永続ディスク (Extreme Persistent Disk):: 極めて高いIOPSとスループットが必要な、最も要求の厳しいエンタープライズワークロード向けです。大規模なSAPワークロードや超高パフォーマンスデータベースなど、レイテンシが非常に重要な場合に利用されます。

推奨事項: ほとんどの新しいワークロードでは、バランス永続ディスクから始めることをお勧めします。I/O性能がボトルネックとなる場合は、SSD永続ディスクやエクストリーム永続ディスクへのアップグレードを検討してください。

参考情報

さらに詳しい情報や最新の料金については、以下のGCP公式ドキュメントおよび計算ツールをご参照ください。